2023年3月12日 ビジュ神父様メッセージ

ヨハネ4:5-42

  今日の福音箇所は、洗礼志願者がイエスとの出会いを深め、信仰の決断をするのを助けるために選ばれた箇所です。

 今日の第一朗読と福音はモーセとイエス様の対象的なことが書いています。イスラエル人をエジプトから解放に導いたモーセに対して、不平不満を表します。これに対してモーセは神により頼み、与えられたもの(杖)をもって彼らの要求を満たすのです。

 イエス様は今日の福音の中では、サマリア人の女性と関わる場面が読まれ、モーセと民の関わりと対象的に違うところが分かります。イエス様はすでに、自分こそが永遠のいのちを与える、渇くことのない水を与えるキリスト、救い主であるということをサマリア人の女性に語ります。つまり、この女性との関わりをとおして「イエスこそがいのちの水の与え主である」ことが現されるのです。今日の物語にはいくつかの「壁」があります。民族と民族の間の「壁」、男と女との「壁」、町の人と罪びととしての「壁」です。

 民族と民族の間の「壁」としては、サマリア人とイスラエル人の間の分裂によってお互いの交流を避けていた民族でした。 男女の間の「壁」としては、当時の社会では、男性と女性は対等な人間同士として関わることはできないと考えられていました。道端で男性が見知らぬ女性に声をかけ、話をすることは考えられなかったのです。だから、イエス様の当時の社会の常識を覆る行動を見て弟子たちが驚いたわけです。そして町の人と罪びととしての「壁」としては、 イエス様がこの女性の生活について触れその有様を明かすところにあります。「あなたには五人の夫がいたが、今連れ添っているのは夫ではない」。心が深く傷ついている女性として、他の町の人ともうまく関わることが出来なかったことでしょう。それは、朝晩に水を汲みに来ていて、世間話をしている女性たちの中で入り切れないこのサマリア人の女性にとっては大きな壁でした。彼女は正午頃、誰も水を汲みに来ない時間帯を選んでいたのです。こういういろいろな壁に囲まれて生活していた、彼女はイエス様の言葉によって救われるのです。

 今日は、私たち一人ひとりが神に呼ばれたことを感謝したいと思います。それぞれがこのように、救い主イエス様によって、渇くことのない水を与えられています。イエス様が与えるこころの喜び、慰め、そのものが私たちの渇きを満たす永遠に生きる水です。日々の生活の中で、色々な壁に囲まれてしまう時に、いつもそばにいてくださるイエス様にすべてをゆだねましょう。四旬節中に悔い改め、節制、祈りを通してイエス様との繋がりを大切にして生きましょう。

Biju Kizhakkel